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<医学書>COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022

COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022 一般社団法人 日本呼吸器学会 メディカルレビュー社という本の紹介をします。COPDといありふれた疾患はどこの病棟に勤めていても罹患している患者は必ずいます。そして何らかの薬剤を使っています。薬剤を使っているということは薬剤師の出番です。

 

 

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はじめに

喘息治療との比較をしながらガイドラインを読み解いて行こうと思います。薬剤師視点でガイドラインを紹介していくので、薬剤→症状→診断→疫学の順で読んでいきます。薬剤以外について間違えて解釈していところがあればご指摘ください。

薬物治療

基本治療ステップ

1、禁煙指導。禁煙の治療薬としてはニコチンガム、パッチ、最近ではバレニクリンとという薬があります。
2、ワクチン接種インフルエンザウイルス、肺炎球菌ワクチンの接種などが推奨されています。
ここからが吸入薬などの出番です。
3、必要に応じて短時間作用性気管支拡張薬(メプチン)
4、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、β2刺激薬(LABA)
(5、喘息が認められる場合はテオフィリンを追加することも)
6、吸入ステロイド薬(ICS)、喀痰調整薬、マクロライド系(クラリスロマイシン、エリスロマイシン)

補足

吸入ステロイド薬:長期使用による肺炎のリスク、口腔カンジタなどのリスクを考慮されているため最後の選択肢になっています。またCOPDにおける気道炎症や全身炎症を抑制するかは今のところわかっていません。ちなみに喘息を合併している場合には吸入ステロイドは積極的な適応となります。

経口ステロイド薬:これまでに経口ステロイド薬の長期投与が推奨されていた時期はあるようですが、慢性安定期の投与には有益性がなく、副作用の観点から推奨はされていません。*増悪時の使用は可。

LAMA:閉塞隅角緑内障には禁忌であるが、開放隅角緑内障には使用可能であるためどちらか判断できないときは眼科にコンサルトしてください。

喀痰調整薬(カルボシステイン、アンブロキソール):重症のCOPD患者の増悪を減少させます。

マクロライド系(クラリスロマイシン、エリスロマイシン):COPDの増悪頻度の抑制、入院頻度の抑制、QOLの向上などの観点から推奨です。

 

増悪時の管理

薬物療法のアプローチはABCと覚えます。A:antibiotics(抗菌薬)、B:bronchodilators(気管支拡張薬)、C:corticostroids(ステロイド薬)

細菌感染やウイルス感染が原因となることが多いです。原因菌としてはインフルエンザ桿菌、肺炎球菌、肺炎球菌、モラクセラ・カタラーリス、マイコプラズマなどによる気道感染の頻度が高いです。増悪の原因の約30%が特定できません。

抗菌薬:喀痰培養から検出された菌が原因菌かどうか慎重に考えて抗菌薬は選択していきましょう。

気管支拡張薬:第一選択薬として短時間作用型β2刺激薬があります。メプチンかネブライザーでベネトリンを症状に応じて1-数時間ごとに反復服用します。

ステロイド薬:経口または静注で投与します。1つの目安としてプレドニゾロン30-40mg/日です。

増悪の重症度判断は咳、喀痰、病歴、身体的所見、SPO2、胸部X線の写真などを総合的に考えていきます。胸部X線では肺炎、心不全の増悪などがわかります。

薬物以外の治療法

安定期の長期管理として呼吸リハビリテーション、栄養療法、酸素療法、換気補助療法、外科療法などが推奨されています。

呼吸リハビリテーション:口すぼめ呼吸や腹式呼吸

栄養療法:COPD患者では栄養障害が認められることが多いです。その原因としてエネルギー消費量の増加とエネルギー摂取量の低下があります。エネルギー消費量の増加は気流閉塞などで呼吸筋のエネルギー消費の増大するからです。エネルギー摂取量の低下全身の炎症性サイトカインにより食欲の低下をきたすからです。

酸素療法:HOT(在宅酸素療法)やLTOT(長期在宅酸素療法)と呼ばれます。低酸素血漿を改善するため推奨されています。酸素を直接投与するので火気特にタバコに注意が必要です。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の病態

COPDとはタバコなどの有害物質を長期にわたって吸入、暴露することで生じた肺の炎症性疾患で、その影響によっておこる気流制限を基本病態としています。肺以外にも全身に併存症を誘発すると考えられており全身性疾患と捉えられています。

喘息と大きく異なる点は常に気流閉塞があり病態は進行性であることです。

COPDの管理目標
①症状及びQOLの改善
②運動耐忍能と身体活動性の向上及び維持
③増悪の予防
④疾患の進行抑制
⑤全身併存症及び肺合併症の予防と治療
⑥生命予後の改善

診断はスパイロメトリーという機械で1秒率を測定し判断します。X線画像検査、呼吸機能検査、喀痰検査などが有用です。喘息との鑑別は典型例であれば容易ですが、難治性の喘息や軽度のCOPDでは区別が難しいです。また、両者の併存もあり得ます。

疫学

世界での死因の第3位がCOPD(2019年)です。日本では男性の死因の第9位(2020年)です。

ブリンクマン指数=1日喫煙本数×喫煙年数
400以上 肺がん危険群 700以上 COPD狭心症のリスク 200以上で禁煙外来禁煙支援マニュアル・ニコチン依存症管理料について|厚生労働省

まとめ

僕たち薬剤師はつい薬を中心に患者全体や治療を考えてしまいます。しかし今回のCOPDの治療でお判りいただけたかもしれませんが、薬剤は治療における一つのツールに過ぎません。

患者という木の幹があるとすると、薬剤は一つの木の枝で、それ以外に栄養、リハビリ、処置など様々な枝があるのです。それらを総合的にアプローチすることで患者を支えることが出来るのです。