節約にゃんちゅうファミリー

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<ビジネス書>SDGs入門

なぜ生きる意味が感じられないのか 満ち足りた空虚について 精神科医泉谷閑示

初版:2022年 笠間書院


 

大学入学共通テストや大学受験の評論文の勉強をしたい方にオススメです。

この本を一言で言うと評論分です。イメージとしては硬い文章です。「生きる意味」を見つる方法や解決策が具体的に示されているというよりは現代の情勢や社会的問題から様々なことを考察している本です。大学入試の題材として使われそうな内容です。
作者は精神科医師で哲学者の側面もある方です。難しい単語がたくさん並ぶので僕なりに咀嚼し簡単な言葉に置き換えて本書を紹介します。高校の現代社会や倫理で現れた有名人たちの名言もたくさんでてきます。


前半は「なぜ生きる意味が感じられないのか」についてのバックグランドや原因が書かれており、後半では対策が書かれています。

人間が「虚しさ」を感じるのは絶望を感じている時と満ち足りている時

前提ととして人間は絶望を感じた時に「虚しさ」を感じます。それとは逆に心が満たされた時にも「虚しさ」を感じます。全く逆の状況で「虚しさ」を感じます。人間は「頭」という考える場所と「心」という感じる場所があります。考える所と感じる所が異なることで2つの真逆の「虚しさ」を生じさせます。その上で現代の日本とはどんな時代なのでしょうか。現代日本は物であふれており、社会の不自由さから脱却し、ある程度満たされた状態になっています。物では満たされていますが、「心」が満たされていない状態になっています。「頭」は不安を作り出し、絶望したり「虚しさ」を作り出します。

現代人は感情面で生物学的に進歩していない

感情面で進歩はほとんどしておらず、コミュニケーションや人間関係で辛いと感じる事は古今東西同じです。そのため古い神話や古典、宗教は今の僕たちにも大切な手掛かりを差し出してくれるのです。神話的なものは時代や世の中が変わっても人間として生きていく上での手がかりを与えてくれる知恵の宝庫となっています。

真の満足は「結果」ではなく、プロセスにある

人間の成熟には「経験」が必要です。頭で考えた効率化だけを求め、無目的な事を省くと失敗や無駄な事の「経験」をしないことになります。すると感情の所で人間的に不具合が生じてきます。それが虚しさ≒空虚感に繋がります。頭で考えた効率的な「結果」を追い求めるのではなく、「プロセス」にベクトルを向けていかなければ心は少しずつ虚しさを感じていきます。「生きる」ことの最終の「結果」は「死」ですが、「生きる」ことの「プロセス」は無限に存在しています。

誰かに憧れることが生きていく上での推進力となる

憧れるという事はある対象の一部に触れ、そこからその奥にある全体像を想像するという精神の働きです。例えば、先生や芸能人、ミュージシャンやスポーツ選手に憧れるということです。彼らのようになりたいと目標に能力的に近づきたいと考えます。しかし、最近はそんな憧れの対象の舞台裏を見せるエンターテインメントがあります。SNSの出現です。今まではスポーツ選手ならスポーツでの姿、芸能人ならテレビでの姿だけでしたが、SNSは普段の姿を露呈させます。そうなると憧れの選手のズボラな姿を見てしまい萎えてしまい、その人のようになりたいという推進力がそぎ取られてしまいます。

ロゴスの崩壊が「虚しさ」の原因になっている

ロゴスとは人間同士の共通認識や共通感覚のことです。もっと簡単に言うと常識や当たり前という感じです。ロゴスがあることで、他人も自分と同じように感じていると考えます。しかし、年代によってこのロゴスが少しずつズレています。50代と20代では社会的状況や環境が大きく異なります。当然感じ方も異なります。このロゴスの大幅なズレは「虚しさ=幻滅と諦め」を感じさせます。

「虚しさ」からの脱却は「考える」ことにある

「虚しさ」を感じるということは実は悪いことではありません。現状に対する不自然さに違和感をわかっているからです。「虚しさ」を正しく考え、どのように認識していくかが大切になります。
何も考えないことが良しとせず、しっかり考えます。原因はなんであるのか?自分の常識とズレているとは何なのか?その考えるプロセスを大切にするのです。

なぜ生きる意味が感じられないのか 満ち足りた空虚のまとめ

評論文なので読んでいてもかなり内容は難しかったです。実生活ですぐに生かせるような技術は学べませんでしたが、考え方は学べました。

人間が虚しさを感じるのは十分満足した時と全く足りない時。自分の常識を逸脱する行為を受け続けると幻滅と諦めの感情になる。憧れを持ち続けることで生きる推進力を得られる。結果ではなく、そこに至るプロセスこそが評価する。

この本から学んだことで人間的により成熟できるのではないかと感じました。

 


なぜ生きる意味が感じられないのか: 満ち足りた空虚について