節約にゃんちゅうファミリー

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<医学書>月刊薬事 2022年6月号 薬剤師として副作用を判断しよう

薬剤師向け記事です。若手薬剤師さんや薬局薬剤師さんでどんな本を読んだらいいのか?勉強の仕方が分からないという方におすすめの雑誌です。

月刊薬事とは

 

 

月刊薬事は毎月1日に発売される月刊誌です。前半に特集記事があり、後半に連載記事が書かれています。
2022年6月号でいえば特集記事は「重篤副作用の予防と治療」、連載記事は「副作用の徐脈性不整脈、QT延長症候群を考えよう!」、「グレープフルーツジュースを超えてゆけ!!薬剤師がもっとできる高血圧患者のケア」、「コンパートメントモデルと半減期」、「βラクタム、マクロライド系」、「せん妄」などについてです。
200ページくらいあるので自分の興味ある分野、臨床で応用出来そうな分野だけ読むというのもありです。実際僕は薬剤師研究の方法や小児、妊産婦(興味はありますが、今の病院に入院患者さんがいません)などの項目は飛ばしています。

特集 重篤副作用の予防と治療

薬剤師は副作用の判断を求められるシーンが多いため、絶対に読んでおきたいです。副作用については病院、薬局どちらに関わる重要な項目です。

重篤副作用疾患別対応マニュアル

重篤副作用疾患別対応マニュアルを知っていますか??
https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/adr-info/manuals-for-hc-pro/0001.html
PMDAのホームページから見ることができます。重篤な副作用の症状、原因、治療法、診断方法などが細かく書かれています。僕は疑アルドステロン症やSJSや悪性症候群などを読んだことがあります。業務の方で相談を受けたので調べました。高カリウム血症や低血糖などありふれた副作用についても項目があります。どんな項目があるのかだけでも目を通しておきましょう。

副作用の捉え方、見極め方

副作用と有害事象の違いは分かりますか?有害事象とは薬を飲んでいて生じた好ましくない事象です。副作用とはその有害事象と薬に因果関係があるものを言います。
「薬を飲んでいて地震が起きて骨折した」というのは有害事象になります。薬と骨折に因果関係はありませんが、薬を飲んでいて生じた好ましく事象です。「睡眠薬を飲んでふらついて骨折した。」睡眠薬と骨折したことは因果関係がありそうなのでこれは副作用です。

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患者さんが副作用と考えている症状でも全て薬が原因という訳ではありません。ではどのように考えれば良いでしょうか。
①病気の器質的(患者さんの元々の状態)なものなのか
②薬による影響なのか
③それともそれらとは全く関係ないことなのか
①-③まで総合的に考えて判断していきましょう。
薬に原因があるかもしれないと疑うのはいいですが、最初から薬と決めつけるのは良くないです。
副作用かもしれないと気がついたら医師、看護師などと共有し、チームで患者さんを観察していきましょう。

医薬品等の副作用の重症度・重篤度分類基準の使い方

CTCAE-JCOGのグレード評価というものを見たことがありますか?
http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAE_v50_unyou_20210901.pdf
元々抗がん剤の副作用評価に使われる指標です。
それぞれの検査値や症状で副作用分類の重症度が決められています。

 

実際の重篤副作用の解説

無顆粒球症、尿閉・排尿困難、手足症候群、緑内障アスピリン喘息、腫瘍崩壊症候群、アナフィラキシー、ジスキネジアなどが書かれています。
その中で緑内障とジスキネジアについて記載します。

添付文書に緑内障に禁忌と記載のある薬剤は多数あります。すべての緑内障に禁忌なのでしょうか?緑内障には眼房水が全く流れない閉塞型と多少は流れる開放型とあります。閉塞型を「閉塞隅角緑内障」と言います。この場合が禁忌となります。ちなみに眼科では初診時に閉塞型か開放型か確認され、閉塞型の場合レーザーや手術など何らかの処置が行われるようです。そのため、実際のところ添付文書上の禁忌に該当する人は眼科受信歴のない方になります。添付文書上に緑内障に禁忌と記載のある薬剤を服用している患者さんがいたら眼科の定期受診を勧めてもよいかもしれません。

ジスキネジアの症状を見たことがありますか?病院に勤めている方や施設に出入りしている人なら見たことがあるかもしれませんね。ナースステーションから一番近い部屋やナースステーションに連れてこられている患者さんの中に症状が出ている人を見かけます。口をもぐもぐさせたり、舌を動かしたり顔面のおかしな動きを観察できます。これがジスキネジアです。原因となる薬剤はD2遮断薬、パーキンソン病治療薬、三環系抗うつ薬四環抗うつ薬SSRI、リチウムなどがあります。被疑薬がある場合は可能なかぎり中止、減量、変更を考慮します。

 

連載

抗生剤について、褥瘡治療、精神系の薬剤についてなど複数のテーマが1年から2年を通して毎月掲載されています。自分の興味のある分野だけを読んだらいいと思います。

 

外来薬物療法ケースカンファレンス 第4回「AIUEOTIPS」

意識障害のある患者は「AIUEOTIPS」を考えて原因を検索していく必要があります。
A:アルコール(急性アルコール中毒、アルコール離脱症、アルコール性ケトアシドーシス、ウェルニッケ症候群)
I:インスリン低血糖高血糖
U:尿毒症
E:脳炎、副腎不全や甲状腺クリーゼや副甲状腺機能亢進症などの生体ホルモン異常、Na,Ca,Mg,Pなどの電解質異常
O:オピオイド中毒、Overdose(薬物中毒)、O2低酸素、CO一酸化炭素中毒
T:頭部外傷、Temperature(高体温、低体温)、Toxin(中毒)、Tumor(腫瘍)
I:Infection(感染症)
P:Psychogenic(心因性、精神的)
S:Shock(ショック)、けいれん、SAH(くも膜下出血)、せん妄、認知症

「AIUEOTIPS」を使えば、医師でなくても意識障害の原因を考えることは出来ます。アルコールによるものかどうかはアルコール臭があるか、低酸素であればパルオキシメーター、インスリンは血糖測定などです。ぼくの薬剤師の上司は救急で来られた患者さんの意識が戻らないことでコールを受けました。看護師から血糖値の測定をしていないことを聞き、測定を依頼しました。するとやはり血糖値は30くらいでした。採血やMRIなど30分以上検査しても原因が分からなかったことが薬剤師の一言で解決できました。

 

外来薬局感染症学 第2回 β-ラクタム系、マクロライド

非定型肺炎の鑑別
肺炎には定型肺炎(細胞壁をもつ菌が原因)と非定型肺炎(マイコプラズマなどの細胞壁をもたない菌が原因)があります。
次の①ー⑥のうち3項目以上当てはまる、または①ー⑨の5項目以上当てはまる場合、非定型肺炎の可能性が高いです。


①年齢が6歳以上
②基礎疾患がない
③1週間以内にβ-ラクタム系の投与がある
④全身状態が良好である
⑤乾性咳嗽が主体
⑥胸部聴診でcracklesが聴取されない
⑦胸部Xp線像で肺炎像が区域性である
⑧白血球数が10000/μL未満である
CRPが4.0未満である。
非定型肺炎の治療にはマクロライド系、ミノサイクリンが使われます。

 

迷わず判断デキる フローチャート薬物治療 第2回 せん妄

せん妄への特効薬は存在しません。せん妄発症時にはその原因の精査と除去が必要で、非薬物介入を実施することが大切です。
年齢や認知症など患者に固有の因子(準備因子)と感染症、薬剤、外傷、不眠など患者に有害な因子(誘発因子)が組み合わさることでせん妄は発症します。
準備因子:高齢(70歳以上)、認知症、重度の合併症、視覚聴覚の障害、せん妄の既往、身体機能の障害など
誘発因子:多剤併用、抗精神病薬睡眠薬、尿カテーテル、脱水・低栄養、電解質異常、抗精神病薬睡眠薬、身体拘束など

せん妄のリスクとなる薬剤の作用は抗コリン作用と鎮静作用、離脱症状などです。
原因薬剤としてはベンゾジアゼピン系、オピオイド、H1遮断薬、H2遮断薬、三環系抗うつ薬、頻尿治療薬、定型抗精神病薬パーキンソン病治療薬などです。

 

まとめ

僕は将来医療系の本のインフルエンサーになりたいと思っています。これから臨床で使える本をどんどん紹介していこうと思っています。若手時代、どんな本にどんなことが書いてあるのか、良書とはどれで自分は本から何を学びたいのか全く分かりませんでした。若手時代に読んでおきたかった本などをこんな感じで紹介していきます。今回紹介した月刊薬事は薬剤師向けに書かれた雑誌なので内容も難しくなく1年目の子にもオススメです。病院、薬局どちらで仕事をされている方にも勉強になります。
薬剤師とは薬物治療を介した全身状態の管理をする職業です。