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<医学書>感染症非専門医・薬剤師のための 感染症コンサルテーション 実症例から迫るアプローチ

感染症非専門医・薬剤師のための 感染症コンサルテーション 実症例から迫るアプローチ
岸田直樹著 じほう 初版2014年

 

 

#抗菌薬#抗生剤#ジェネラリスト#全身管理#カルテの書き方

優しい内容で、実症例を元に感染症内科の考え方を学びたい方にオススメです。

はじめに

今回は医療従事者特に薬剤師、研修医などに向けた本を紹介します。作者は感染症内科のドクターで岸田直樹先生です。
実症例を元に相談を受けそうな内容が書かれています。所謂抗菌薬や菌について書かれている教科書というよりは、物語と思って読んだらいいと思います。ちなみに僕は3回読み直しています。読み直す度に新しい発見が得られます。

概要

目次は最後に載せているので見てください。肺炎、尿路感染、下痢を起こすCD感染、菌血症など病棟でよく問い合わせを受ける内容です。
診断方法、抗生剤などの治療方法、カルテの記載方法が書かれています。症例ベースなので抗菌薬の特徴や菌の特徴については詳しくは書かれていません。感染症内科がどのような事を考えて治療を決めているのか勉強できます。
今回は尿路感染と肺炎について触れていきます。

尿路感染

尿路感染は除外診断が原則です。単純性尿路感染と複雑性尿路感染に分かれます。単純性尿路感染は「閉経前の女性で妊娠しておらず尿路に問題がない人」、複雑性尿路感染はそれ以外です。病棟で出会う症例は複雑性尿路感染が多いのでこちらについて書いていきます。

ポイント
⚫性別→男性の場合は前立腺炎を起こしている可能性がある。女性の場合は尿道が短いため菌が上がってきていることが多い。
⚫原因菌→大腸菌、腸球菌、緑膿菌など様々あり
⚫入院前はどこにいたか→2週以上施設や病院にいた場合、院内関連感染症を考えて耐性菌の可能性を考える。

抗菌薬については、菌が判明する前はブロードに、判明した後は狭くすることが書かれています。このデエスカレーションにしていく過程が書かれているのがこの本の特徴でもあります。

肺炎

A-DROPという重症度評価をご存じでしょうか。年齢(男性>70,女性>75)、腎機能(脱水)、SPO2<90、意識障害、血圧(SBP<90)の何項目を満たすかで重症度を測る指標です。

ポイント
●入院前はどこにいたか→市中肺炎なのか、院内関連感染症なのかで原因菌が変わります。
●既往歴→COPDありやアルコール多飲ありなどでも原因菌が変わります。
●非定型菌(細胞壁をもたない菌)までカバーするかで抗菌薬の選択が変わります。

肺炎治療は全身管理と抗菌薬の選択がとても重要になります。痰の培養をする際もその痰の性状(geckler分類)が重要になります。質の悪い痰の時には抗菌薬のスペクトラムを狭めることが難しくなります。尿路感染の時と同様にデエスカレーションの方法も記載されているので参考して下さい。

日本の死因の第3位が現在肺炎です。そのため呼吸器内科が常駐していない施設にも患者は運ばれてきます。適切な抗菌薬治療をしながら全身管理が薬剤師には求められています。

まとめ

感染症コンサルテーションは抗菌薬の選択方法ついて詳しく書かれておりとても勉強になります。また、診断方法やカルテの書き方、検出しやすい菌なども書かれており、いつ見ても参考になります。後輩には必ずすすめている本です。感染症の基礎を学びたい方はぜひ本書を読んでください。

本書の目次

1コンサルテーション基本編
カテーテル関連血流感染症 合併症がない場合
複雑性尿路感染症
市中細菌性髄膜炎
カテーテル関連血流感染症 合併症がある場合
院内下痢症(クロストリジウム・ディフィシル感染症)
皮膚軟部組織感染症
市中肺炎
良くならない胆管炎

2コンサルテーション応用編
感染性心内膜炎 合併症がない場合
感染性心内膜炎 合併症がある場合
院内細菌性髄膜炎
腹膜内感染症(二次性腹膜炎)
抗菌薬に乗る副作用がある患者への対応①
抗菌薬に乗る副作用がある患者への対応②
がん患者の感染症①固形がんで多発転移がある患者の発熱へのアプローチ
がん患者の感染症②発熱性好中球減少症へのアプローチ
3コンサルテーション血液培養編
血液培養からこんな菌が生えてきたんだけど...という相談①バシラスの場合
血液培養からこんな菌が生えてきたんだけど...という相談②黄色ブドウ球菌の場合