<医学書>感染症レジデントマニュアル 第二版 藤本拓司著 医学書院出版
オススメ度:5
薬剤師、研修医に感染症を勉強するためにおすすめの本を紹介します。
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はじめに
今回紹介する本は医療系の専門書です。微生物学の勉強したい方にもオススメです。
本のページ数も多く、自分が知りたいところを調べる辞書としても活用できます。ぼくも端から端までは読んでいません。要所要所で10回くらい読んだところもあります。
概要
感染症の病態、細菌の特徴ついて勉強できます。もちろん抗菌薬の特徴についても書かれています。本書の特徴として各病態で感染源となる菌、治療薬について詳しく書かれているところです。診断方法などについても書かれています。細菌の耐性状況、グラム染色の特徴なども書かれております。
今回は病態として肝膿瘍と蜂窩織炎を、細菌の特徴として大腸菌と肺炎桿菌を内容として紹介します。
内容
肝膿瘍
膿瘍とは菌の塊をいいます。この菌の塊は非常に抗菌薬が効きにくいので体から取り除く(ドレナージする)ことが基本となります。ドレナージが困難な場合、ドレナージ後の治療として抗生剤が使われます。
肝膿瘍は細菌性とアメーバ性に分類されます。
細菌性の起因菌は大腸菌、肺炎桿菌、腸球菌、レンサ球菌、嫌気性菌などの複合感染であることが多いです。治療薬としては嫌気性菌カバーまでできる広域スペクトラムのものが選ばれます。軽症の場合はセフメタゾール、ユナシンなど重症の場合はタゾピペ、メロペンなどです。治療期間は4-8週と長くなります。
アメーバ性の場合は男性に多く、性感染症を疑います。胸膜痛や胸水などの呼吸器系症状を訴えられる場合もあります。治療薬としてはアネメトロとなります。
蜂窩織炎
原因菌は黄色ブドウ球菌とレンサ球菌が多いです。黄色ブドウ球菌の場合はセファゾリン、レンサ球菌の場合はビクシリン、菌が不明な場合はユナシン、ダラシンなどが選択肢として上がってきます。治療期間は5-10日です。
大腸菌(Escherichia coli)
グラム陰性桿菌
市中でのビクシリン耐性は40%、レボフロキサシンの耐性も進んできています。尿路感染の起因菌として有名です。
また、ESBL産生菌と呼ばれるモノもいます。いわゆる耐性菌です。ESBLを産生している場合セフメタゾールやメロペネムを使用する必要が出てきます。患者の状態をみたうえで薬剤は慎重に選ぶ必要があります。セファゾリンに感受性がある場合もあります。
市中と院内の耐性状況もグラフに描かれているので本書でご覧ください。
肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)
グラム陰性桿菌
クラブジエラと言った方がわかる方もいるでしょうか。僕はこの菌で躓いたと言っても過言ではありません。書籍によって肺炎桿菌と書かれたり、クラブジェラと書かれたりします。そして肺炎と書いてあるのに実は腸内細菌です。肺炎、尿路感染の原因菌になります。ESBL産生菌も存在します。ビクシリンに対しても自然耐性です。セファゾリンを含むセフェム系に感受性を示すことがおおいです。
まとめ
辞書として活用出来る本書は感染症を勉強する上で必須です。これをしっかり学ぶことで同期と差がつきます。感染症について病棟で相談されても怖くなくなると思います。